介護現場のニーズリスト高齢者福祉施設での不適合な車椅子の使用

場面

その他

場面の詳細

高齢者福祉施設入所者の8割以上(施設によっては10割)が日常で車椅子を使用しています.平均使用時間は8時間程度です.したがって生活場面全般での使用となります.

課題の持ち主

被介護者,介護者(介護職,専門職)

課題の持ち主の詳細

不適合な車椅子を使用している高齢者.不適合な車椅子を使用することにより生じる様々な介護上の負担.

課題の具体的内容

高齢者福祉施設の要介護3以上の入所者は,2020年には95.4%を占めており確実に施設の重度化が進んでいる.障害及び高齢に伴う下肢機能の低下により施設入所者の8割以上が,車椅子を日常の移動手段もしくは生活を営む上での中心の場としている(平均車椅子座位時間7.3±3.7時間:関川 2013).車椅子の利用は,座位を保持し,ベッド上での寝たきりを防止することにより,股関節拘縮予防,コミュニケーション意欲や心肺機能の向上,活動・参加促進などその効果は大きい.一方で座位の確保は,重力に抗した姿勢であるため腹筋・背筋を含めた多くの筋活動を必要とし,バランス保持能力が求められる.そのため,重度化が進む施設利用者には,座位保持機能を備えた車椅子の提供が必要不可欠であるが,施設で使用されている車椅子の多くは,病院等での一時的搬送を目的としたものであり座位保持機能を有していない.更には,国内車椅子の多くが欧米人の体格に準じたJIS規格によって製造されているため,小柄な日本人高齢者には大き過ぎる.そのため,不良姿勢を生み出す要因となり,車椅子からの転落事故や褥瘡リスク,ADL低下の原因となっている.

対策・工夫・道具・使っている機器やその課題

対応方法としては,第一に高齢者福祉施設入所者の方々の不良姿勢や活動低下の原因(課題)が現状の車椅子にあること広く理解していただ必要がある.次に一人一人に適合(身体への適合,生活場面への適合)した車椅子の提供を行い,生活の変化(改善)を明確にして施設職員間および家族等での情報(適合後の効果等)の共有が必要となる.
現状の課題は,上記高齢者福祉施設の現状が知られていない.また,車椅子(環境因子)を変えることによる生活(ADL含)改善の効果についても認知されていない.そのため,日本人高齢者が生活場面で使用するのに適した車椅子がほとんど存在しない.更には,適合して車椅子を提供するための各種支援機器も不足している.

担当者

マッチングサポーター
関川 伸哉(東北福祉大 総合福祉学部 教授,マッチングサポーター)

キーワード

車椅子,適合支援,生活改善

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